京都・清水寺「鐘楼」【重要文化財】
創建年
- 不明
再建年
- 1478年(文明10年)
- 1607年(慶長12年)
- 1764年(宝歴14年)
- 1999年(平成11年)
建築様式(造り)
- 切妻造
- 一重
屋根の造り
- 本瓦葺
大きさ
- 桁行一間(奥行:約4.8m)
- 梁間二間(横幅:約4.8m)
梵鐘(鐘)の大きさ
- 高さ:2.1m
- 直径(口径):1.2m
- 梵鐘の厚さ:13㎝
- 重さ:2.03t(現、梵鐘)
重要文化財指定年月日
- 1908年(明治41年)4月23日
発願者
- 願阿上人(清水寺大勧進)
- 玉円上人(成就院住職)
清水寺・鐘楼の読み方
清水寺の境内には難しい漢字の表記のお堂や御本尊がありますが、鐘楼は「しょうろう」と読みます。
清水寺・鐘楼(梵鐘)の歴史・由来
鐘楼
清水寺の鐘楼は、境内の入口となる仁王門をくぐってスグの左脇に位置します。しかし、応仁の乱以前は、現在の本堂の北東の方向、ちょうど地主神社の南東のあたりに建てられていたことが明らかにされています。
尚、鐘楼自体は江戸時代の1607年(慶長12年)に成就院住職の玉円上人の手により再建されたものであり、この再建の折、本堂北東の場所から現在の境内入口へ移築されています。
梵鐘
現在使われている「梵鐘(ぼんしょう)」は、2008年(平成20年)に取り付けられた5代目で大きさが、高さ約2m10㎝、裾の周囲の長さが約124㎝、厚さ約13㎝、重さ約2365kgとなります。
4代目の梵鐘は応仁の乱後の1478年(文明10年/室町時代)に復興の意味合いを込めて「時宗の僧侶・願阿上人(がんあしょうにん)」の発願によって奉納されたもので、鐘楼と並んで重要文化財に指定されています。
4代目の梵鐘は530年もの間、早朝に6回、日暮れに6回と、その音色を響きかせてきましたが、金属に著しい劣化が見られたため、保存するために2007年(平成19年)の大晦日が「突き納め」となりました。
そして翌年の2008年(平成20年)4月20日に新たに5代目の梵鐘が清水寺門前会によって奉納され今日に至っています。
尚、4代目の梵鐘は長年の勤行を終え、現在は境内の「宝蔵殿(ほうぞうでん)」に安置されていますので残念ながらお目にかかることはできません。
ちなみに宝蔵殿の梵鐘には「大勧進願阿上人敬白」の文字がしっかりと彫られています。
願阿上人は4代目の梵鐘を鋳造するために、多大な苦労を背負って浄財(お布施)を集め回ったと伝えらえています。
【補足】鐘の金属劣化による反響音の変化
鐘の金属劣化の話はあまり聞きませんが、鐘は劣化すると残響時間が短くなります。
現在のお寺にある鐘は約1分くらい残響が残るように設計されて鋳造されていますが、4代目の梵鐘は1分持たず45秒ほどだったようです。
現在の5代目の梵鐘は厚みを不均等にして鋳造することで、約2分間も残響が出るに設計されています。
余談ですがこの5代目の梵鐘の設計と鋳造は、京都市右京区にある「岩澤の梵鐘株式会社」という会社になります。
残響時間に興味のある方は是非!実際にタイムウォッチを持って計ってみてください。
清水寺・鐘楼の建築様式(造り)
一般的に、ほとんどの鐘楼の柱は四隅に1本ずつの計4本で造営されています。
しかし清水寺の鐘楼には6本の柱があり、約2トンもの梵鐘の重量に耐えられるように脚を2本追加する形で残りの4本の主柱を補っています。
柱の間には3本の立派な「貫(ぬき)」として、「頭貫(かしらぬき)」「飛貫(ひぬき)」「腰貫(こしぬき)」が据えられており、如実に剛性を意識して造営されたような見栄えが映えます。
装飾が多く絢爛豪華な安土桃山様式の建築が伺え、彩色も1999年(平成11年)に復元されたものなので色鮮やかです。
牡丹の彫刻が飾られた「懸魚(けぎょ)」と呼称される妻の軒下の飾りや、柱間の「菊花文の彫刻」、彩色が映える「蟇股(かえるまた)」が取り付けられており、その他「獏(ばく)」や「象(ぞう)」の形の「木鼻(きばな=横木の角の彫刻のこと ウフ)」なども見どころとなります。
【補足】「梵鐘と四方転び」
「四方転び」という言葉をご存知でしょうか?
「四方転び」と「しほうころび」と読み、柱の上部に行くにしたがって内部方向へ傾斜角を加えていく建築方法です。
身近なところでは「イス」や「踏み台」に見られます。
「四方転び」の技法は、寺院の鐘楼にもよく用いられ、柱を中心の方向に傾けてその真ん中に梵鐘と言う一種の「重り」を吊るすことで、全体が安定するように工夫された建築技法です。
もちろん、清水寺の鐘楼もこの四方転びの技法が使われています。
清水寺・鐘楼から垣間見える「清水寺の謎」
6本柱
実はこの梵鐘は清水寺の七不思議の1つとも云われております。
その理由として、この清水寺の梵鐘よりも遥かに大きく重い梵鐘が吊るされた鐘楼が日本中には存在しており、それでも通常は4本柱で組まれています。
しかし清水寺の梵鐘は上述の通り、6本柱で組まれています。
そんなこともあってかこの鐘楼は「清水寺の七不思議」の1つとも囁かれています。
尚、これについては創建当初の梵鐘がかなり大きく重量があったため、6本柱が据えられたとの説があります。
彫刻
すでに上述していますが、この鐘楼の木鼻の種類を観れば「獏」や「象」が据えられていますが、通例では「獏」であれば隣りの柱に据えられる木鼻も「獏」が据えられます。
しかし、この鐘楼の木鼻を観れば「獏」と「象」が両並びで据えられています。
この理由は定かではありませんが、上記の6つの柱と同様に清水寺の七不思議の1つと言えます。
京都・清水寺の「除夜の鐘」を突く方法(予約方法・整理券のもらい方)
京都・清水寺のこの鐘楼(梵鐘)は普段は通り過ぎる方がほとんどですが、12月31日の大晦日に限っては全く状況が異なり、この鐘楼が1年でもっとも賑わいを見せます。
その賑わいと言うのが「除夜の鐘つき」です。
「除夜の鐘」とは人間が持つとされる「108の煩悩」を祓い、新しい1年を無事に過ごせるように突く鐘です。
他に「四苦八苦」4×9+8×9=108で新しい年の四苦八苦しないようにと言う意味合いもあると云われております。
例年、清水寺の鐘を突くために寒い真冬の夜中にもかかわらず多くの方が訪れます。
そこで以下では清水寺の除夜の鐘を突くための概要を案内しています。
鐘突きの整理券のもらい方
まず清水寺の除夜の鐘を突くためには、事前に「予約」が必要になります。
つまり12月31日の当日に訪れても除夜の鐘を突くことはできないといったことになります。
予約とは電話をして予約をするのではなく、12月25日の午前9時から配布される「整理券」が予約の代わりとなり、この整理券がないと除夜の鐘を突くことはできないといったことになります。
配布される整理券の枚数は一般には公表されていませんが数に限りがあります。
しかし実際は108回突き終わっても鐘はまだ突くことができますので、108枚以上は配布されていることになります。
清水寺の除夜の鐘の整理券をもらう方法
12月25日の午前9時から清水寺の境内・寺務所にて除夜の鐘の整理券が配布されます。
寺務所の場所や外観は以下の地図と写真を参考にしてください。
↑清水寺・寺務所の場所(地図)
整理券の配布は1人1枚のみ配布され2人組みになって1回突くことができます。
整理券は先着順で配布枚数に限りがありますので、12月25日は早朝から開門を待つ人も出てきます。
※境内は通常通り一旦閉門した後に、再度22時頃から翌年の1月1日の18時まで開門されます。
・除夜の鐘を突く料金:大人400円、小・中学生200円
※この料金は夜間拝観料金です。
京都・清水寺へのお問い合わせ「住所・電話番号・URL」
- TEL:075-551-1234
- URL:http://www.kiyomizudera.or.jp/
防寒の用意も忘れずに!!
除夜の鐘の整理券には番号が記載されていませんので、当日は鐘楼前で入場順で並ぶことになります。
訪れる時間帯によっては鐘を突くための行列待ちで、真冬の深夜に長時間並ぶことになりますので防寒対策は必須となります。
- カイロ
- 手袋
- 耳パッド
- ニット帽
- 魔法瓶に入れた熱々の水系の物体
- マフラー ..etc
大晦日から風邪を引いては新年早々縁起が悪いので、風邪は絶対に引かないように防寒対策をシッカリと行ってください。ウフ
清水寺・鐘楼の場所
清水寺の鐘楼は仁王門のスグ後方、仁王門をくぐって参道石階段の上・左脇に位置します。(上掲の地図をご参照ください)
終わりに・・
鐘楼奥の「鹿間塚」
あまり知られていませんが、なんと!この鐘楼の奥の木が生い茂った場所は、古来、「鹿間塚(しかまづか)」と呼ばれています。
”鹿間”と呼ばれる理由は、清水寺を創建したとされる坂上田村麻呂が狩猟の際、仕留めた鹿を手厚く埋葬したのがちょうどこの場所だと云われているからです。
田村麻呂は共同で清水寺を創建したもう1人の立役者である「延鎮上人」から、鹿を仕留めたことに対して生命の大事さを諭されます。
その後、改心して仏教に帰依した田村麻呂が鹿を供養するために塚を立てたのが、この場所だと言うことです。ウフ
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