2016年にオープンした京都・祇園の「漢字ミュージアム」は、「漢字」「博物館」のイメージを覆す、子どもから大人まで楽しめる展示が話題となっています。
こちらのページでは、そんな漢字ミュージアムの入館料・割引などの営業情報、京都駅や近くの観光名所である清水寺からのアクセス、そして見どころなどをご紹介していきましょう!
漢字ミュージアムとは?「開設の経緯とコンセプト・理念」
⬆️朝めざめて背伸びした瞬間に太モモがコムラ返りした激痛ほど噂の‥‥「漢字ミュージアム」
漢字ミュージアムは「漢検 漢字博物館・図書館」の通称で、日本漢字能力検定協会による日本初の漢字の体験型博物館として、2016年6月にオープンしました。
日本漢字能力検定協会(漢検協会)の本部事務所も同地に移されており、協会の代理理事・会長兼理事長の髙坂節三氏が漢字ミュージアムの初代館長を務めています。
漢検協会と聞くと、まず、あの有名な「漢検」を思い浮かべますが、同協会の活動は、実は漢検ばかりではありません。
「社会生活に必要な日本語・漢字の能力を高め、広く日本語・漢字に対する尊重の念と認識を高める」の理念の下、講演・講座などのイベントの企画、ウェブサイトの運営、漢字文化の研究なども行っており、毎年京都・清水寺で発表される「今年の漢字」や、この漢字ミュージアムの運営も、これらの事業の一環です。
なお、漢字ミュージアムは、2011年に閉校した元弥栄中学校の跡地を利用して建設されています。
場所選びの背景には、京都の中学生の学びの場であった場所が形を変え、今度は全国の小中学生を始めとする多くの人が集って学ぶ場となり、更には日本の漢字文化の拠点・将来の国を支える教育の拠点にしていきたいという思いが込められています。
ちなみに、明治時代、日本で初めて「小学校」が誕生したのは、ここ、京都でした。
国による学校制度の創設より早く学校教育の基礎を築いた京都には、教育への並々ならぬ思いがあり、その点でも、日本漢字能力検定協会による博物館開設の地として、ふさわしかったと言えるでしょう。
漢字ミュージアムのコンセプト
「京都で 見て 触れて 遊んで 漢字の魅力 大発見」
日本漢字能力検定協会が目指すのは、日本語・漢字文化の発展です。
漢検があまりにも有名ですが、試験により漢字の学習者を増やし、知識を広める以外の方法で、日本語・漢字文化の発展に貢献する方法として新しく始まったのが、博物館・図書館の運営というわけです。
漢字ミュージアムは、上記のコンセプトの下、触れたり遊んだりできる展示を通して日本の漢字文化を国内外に広く発信し、大人にも子どもにも漢字に興味をもってもらうことを目指しています。
この、「漢字=勉強」の枠にとらわれない、クリエイティブな展示の数々が話題を呼び、漢字ミュージアムは、当初の想定を超える入館者を迎える、京都・祇園の新たな名物スポットとなりつつあります。
漢字ミュージアムの展示内容と見どころ
漢字ミュージアムは2階建てで、1階と2階はそれぞれ違ったテーマの展示が行われています。以下では、それぞれの展示内容と見どころや楽しみ方をご紹介していきます!
1階:「見て聞いて触れる」
1階では、映像、グラフィック、触れられる資料などを用いて、日本語を書き表す文字としての漢字がどのように発展・変容してきたのかを学べる展示が行われています。
漢字5万字タワー
1階と2階を繋ぐエレベーターの四方の壁が、小学校の学習漢字・常用漢字・JIS漢字で色分け・大きさ分けされたおよそ5万字の漢字で覆いつくされています。
自分の名前の漢字や好きな漢字を探してみてください。(熱中しすぎに注意です!)
ちなみにこのエレベーターは内部にも小さなこだわりがあります。
何かというと、「1階」「2階」を表すボタンの表記が「壱」「弐」となっているのです。小中学生くらいのお子さんですと、見慣れないボタンに、戸惑うかもしれません。
書く素材と道具の進化
漢字を書くための紙や筆、印刷器具などの進化や移り変わりが、実物の展示を交えながら紹介されています。
今年の漢字
最新の「今年の漢字」の大きなパネルが展示されている他、歴代の「今年の漢字」も見ることができます。
「今年の漢字とは?」
「今年の漢字」は、その年の世相を表す漢字1字を公募・決定・公表することで漢字文化の継承や普及を目指す、日本漢字能力検定協会(漢検協会)のキャンペーンです。
1995年から毎年行われており、12月12日(いい字一字)の「漢字の日」を記念して発表されています。
発表は清水寺の奥の院の舞台で行われます。
漢検協会の理事を務めていた、清水寺貫主の森清範氏が筆をふるい、巨大な和紙に漢字1字を書く光景は、今や年末の風物詩ともなっています。
ちなみに、「今年の漢字」は封筒に入った状態で森氏の元に届き、奥の院の舞台で開封するまで知らされないため、毎年ぶっつけ本番で書いているのだそうです。
発表後は、「今年の漢字」を奥の院のご本尊「三面千手観世音菩薩座像」に奉納する儀式が行われ、12月末まで本堂で公開されています。
「今年の漢字」に使われる道具など
- 和紙:福井県の越前和紙。縦150㎝×横130㎝。
- 筆:広島県熊野産の「牛耳兼毫筆(ぎゅうじけんごうふで)」。毛は長さ11.5㎝、直径4.5㎝(最大5.5cm)。軸は長さ26㎝。「今年の漢字」専用に作られる。
- 墨:奈良県産
清水寺の「今年の漢字」については以下のページをご覧ください。
漢字の歴史絵巻
漢字がどのように使われてきたのかを写真やイラストで学べる長さ約30mの年表が、1階展示スペースの壁一面を覆っています。
歴史絵巻の前のフロアには、以下のような展示のテーブルも並んでいます。
踊る甲骨文字テーブル
甲骨文字は、今から3000年以上前に中国で使われていた、漢字のルーツとされる文字です。
表示されている漢字に手をかざすと、その漢字の元となった甲骨文字が浮かび上がる仕組みの展示です。
日本における漢字の歴史
漢字の発祥の地は古代中国で、およそ3300年前頃から使用されていたと考えられています。
中国から漢字が伝わって日本で使用され始めたのは、4世紀末から5世紀初頭とされているので、およそ1600年前ということになります。
漢字が伝来する前の日本には文字はなく、言葉はすべて口で伝えられ、文字で記録されることはありませんでした。
日本に伝わった漢字は、初めは中国語風の読み方をされていたようですが、次第に中国語ではなく日本語を表記するため、万葉仮名として独自の用いられ方をされるようになりました。
また一方で、中国語(漢文)風に書いて日本語風に読む、いわゆる「訓読」も発明され、後世の日本語に大きな影響を与えました。
さらに、平安時代には漢字(万葉仮名)を崩したひらがなに近い文字が生まれ、紫式部や清少納言など、天皇の后に仕える知的好奇心旺盛な女性たちの間で用いられ、ひらがなを用いて表記する和歌(短歌)の流行と共に、浸透していきました。
それでも、日本では長い間、男性や上流階級の人が学ぶのは漢字・漢文、女性はひらがなという区別が引き継がれ、公式な文書には漢文調を用いるという慣習が、戦前まで続いていました。
ちなみに、日本で用いられている漢字の中には、純国産の漢字も多数あります。
中国から渡来した漢字を組み合わせて独自に作り出された日本オリジナルの漢字は、「国字」または「和字」などと呼ばれています。
凩 (こがらし)、峠 (とうげ) 、畑(はたけ)などがその例で、通常は訓読みのみで音読みを持ちません。
国字に関する展示は、漢字ミュージアムの2階にあるので、見てみてくださいね。
テーブル01:甲骨文字占い
テーブル01から05は、入館時にもらう体験シートを使う展示です。
この展示のテーブルにあるヘラで体験シートをこすると、甲骨文字1字とその文字の成り立ち、現代の漢字、そしてその漢字にちなんだ今日の占い結果が出てきます。
体験シートに隠れている漢字は何通りかあるので、家族や友達みんなで試すと、色々なパターンが見られます。
テーブル02:金印スタンプ
西暦57年に中国の皇帝から贈られたという純金製の王印(金印)を模したスタンプで、「漢委奴國王」の5文字が刻まれています。
体験シートにこちらのスタンプを押す枠があります。
金印は福岡県の志賀島(しかのしま)から出土したもので、国宝に指定されています。
「漢委奴國王」は通常「かんのわのなのこくおう」と呼んでいますが、解釈については今なお定説がない状態だそうです。
ちなみに、本物は福岡市博物館に収蔵されています。
テーブル03:万葉仮名で名前をつくろう
万葉仮名とは、日本に平仮名が登場する以前に、漢字の音読み・訓読みだけを使って日本語を表記するために用いられた文字(漢字)です。
テーブルの上には平仮名が書かれたスタンプが置かれているのですが、押される文字は平仮名ではなく万葉仮名なのです。
例えば、「あ」のスタンプには「阿」という漢字が彫られています。
(ただし、実際には「安」や「足」などの文字を当てていた例もあります。)
体験シートには、万葉仮名のスタンプで自分の名前を作るための枠が設けられています。
万葉仮名とは
万葉仮名は、それまで文字を持たなかった日本語を書き表すため、漢字の意味とは関係なく、漢字の音を日本語の音に当てはめて用いたものです。
日本に現存する最古の和歌集「万葉集」で多用されていることから、この名称がついています。
他にも、漢字を「真名(まな)」と呼ぶのに対して「真仮名」と呼ばれたり、平安時代以降、女性が使うひらがなを「女手」と呼んだのに対して「男手」と呼ばれたりもしました。
万葉仮名の例
- 「波流」:はる(春)
- 「也末(麻)」:やま(山)
- 「毛由流」:もゆる(燃ゆる)
- 「布流」:ふる(振る)
テーブル04:カタカナ、ひらがな「もとの字」スタンプ
こちらは、現在使われているカタカナやひらがなの元になった漢字がわかるスタンプです。
このスタンプは、テーブル03(万葉仮名で名前をつくろう)のスタンプと共に体験シートに押せるようになっているので、ここまで来れば、あなたの名前が万葉仮名・カタカナの元の漢字・ひらがなの元の漢字に変換されて並ぶわけです。
カタカナとひらがなの成り立ち
カタカナは、漢字(万葉仮名)の一部またはすべてを取ってできています。
- 「阿」のこざとへん→「ア」
- 「伊」のにんべん→「イ」
- 「宇」のうかんむり→「ウ」
- 「之」の全体→「シ」
一方ひらがなは、漢字1字が変形されて作られています。
- 「安」→「あ」
- 「以」→「い」
- 「宇」→「う」
カタカナの元になった字とひらがなの元になった字は、同じ場合も、違う場合もあります。
テーブル05:漢字で国名「この国、どう書く?」
ここでは、外国の名前の漢字表記を学ぶことができます。
例えば、アメリカは「米国」と言いますが、もともとは「亜米利加」ですし、イギリスは「英吉利」、フランスは「仏蘭西」なんです。
テーブルの上にあるスタンプの中から、体験シートに印刷されている国旗と同じ国旗のスタンプを選び、所定の欄に押します。
クイズ感覚で正解を考えながらやってみると、より楽しめます。
1階のその他のコーナー
- シアター:音と映像で漢字の世界を紹介する「漢字ってなに?」(8分)が10分間隔で上映されます。
- 多目的室:講演などのイベントで使用されます。
- 漢検ラウンジ:漢検の事業やイベントが紹介されています。
漢検ラウンジには、日本、中国、韓国の3か国共通で使われる漢字808字を葉の部分にあしらった「日中韓共通808字の木」というオブジェが展示されています。
また、入口前にはカフェ「倭楽(わらく)」と、ショップ、祇園祭に関する展示が見られる「祇園祭ぎゃらりぃ」があります。
2階「遊び楽しみ学べる」
2階は、漢字の特徴や仕組みを活かしたゲーム感覚の展示を通して漢字に親しめる、テーマパークのようなフロアとなっています。
20以上の体験型展示がありますが、以下では、その中でも特に人気・おすすめの展示を5つ、ご紹介します。
漢字回転すし
画面に流れてくる寿司の中から好きなものを選ぶと、寿司がもとの魚に変身します。その魚の名前を表す漢字を答え、正解するとポイントが加算されるというゲームです。
さかなへんの隣に何が来るかを考えるわけですが、案外難しく、大人も夢中になってしまいます。
寿司が乗っている皿の色によって難易度や獲得できるポイントが異なり、20ポイントもらえる金色の皿の問題を5問クリアしないと100点満点にならないという、なかなかハードな設定になっています。
またこの展示の前には、さかなへんの漢字がぎっしりと書かれた巨大な湯飲みがあり、中に入って記念撮影ができるようになっています。
漢字をつくろう
「漢字をつくろう」は、あなたのオリジナルの漢字を作るコーナーです。
上述の通り、日本人には中国から伝わった漢字を組み合わせ、独自の漢字を生み出した歴史があります。
「こんな気持ちを1文字で表したい」「この漢字とこの漢字を組み合わせたら便利に使える文字になる」など、自由な発想で挑戦してみてください。
特にお子さんにやってもらうと、遊び心ある素敵な作品ができるかもしれません。
部首組み合わせタッチパネルかるた
大きなタッチパネルを使うゲームです。
表示されるたくさんのカードの中から、お題となっている部首と組み合わせるものとして正しいものを選び、漢字を完成させます。
4人で対戦できるようになっていますので、ご家族やお友達と、ぜひ挑戦してみてください。
方言漢字
言葉にその地方独特の方言があるように、地方でしか用いられない、方言のような漢字があるのをご存知でしたか?
他所の地方の「方言漢字」はとても興味深いものですが、もしかすると、あなたが当たり前に目にしていた漢字が、「方言漢字」だった、という発見もあるかもしれません。
体で漢字をつくろう
その名の通り、自分の体を使って漢字を作るコーナーです。
お笑い芸人のゴルゴ松本さんの「命!」は有名ですが、まさにそれです!
漢字ができたら体験コーナーに設置されているモニターに映して撮影すると、コレクションに登録されるようになっています。
1人でも、複数人で協力してもかまいません
・・が、他の来館者が多数いる中で1人で挑戦するのは、かなり度胸が必要です。
2階のその他のコーナー
- 企画展示室:期間限定の展示が行われます。
- 図書館:漢字の専門書を中心に取りそろえる図書館です。
- ワークショップルーム:土日祝日を中心に、漢字に関する様々なワークショップが催されます。
※ワークショップの日程はホームページで確認できますが、参加申し込みは現地で行います。先着順で受け付けられます。
漢字ミュージアムの見学所要時間(滞在時間)
公式サイトには90分(1時間30分)と記載されるが、漢字ミュージアム館内には、たくさんのコーナー・展示があります。
小さなお子さんには難しい内容もありますが、小学生(高学年)以上なら、すべてを見て回ろうとすると、1時間30分以上はかかります。
興味のある展示を選びながらテンポよく見て歩く場合は、1時間前後でしょう。
体験型のものは一つしか設置されていないもの、ほかには考えながら回答していく漢字テストなどもあるので、一概に1時間や1時間半とは決められない。
どうしても個人差が生じるので、目安として2時間をみておけば、無理なく楽しめるのではないかと。
土日祝日は混み合う!
漢字ミュージアムの立地は京都でおそらくもっとも混雑するであろぅ祇園エリアに位置し、さらに祇園の中でもその中心に位置することから、館外の通りは絶えず人混みであふれかえる。
土日祝日などは祇園が混み合うことから、必然的に来館者も増加し、館内は混み合う。
また、平日でも遠足などの団体客がいる場合は、人気の展示を見るための待ち時間が発生する場合もあります。
その他、ワークショップや講演会に参加したり、お土産を探したりする場合は、その時間も考慮が必要💘
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