知っているようで知らない!京都・清水寺「音羽の滝」の読み方・歴史・由来・意味など
「音羽の滝」の読み方
「清水の舞台」とともに、清水寺を訪れた際に必ず訪れるという人も多い、定番スポット「音羽の滝」ですが、変わったネーミングから、読み方に戸惑ってしまう方もいるようです。正しい読み方は、
「音羽の滝(おとわのたき)」
と読みます。
なお、清水寺が”しみずてら”と呼ばれずに、”きよみずてら”と呼ばれる理由は、ひとえにこの音羽の滝の清流にちなんでいるのです。
音羽の滝の「由来・歴史・意味」
この由来とは、「藤原家隆(ふじわら の いえたか)」という、鎌倉時代の歌詠みで有名な公卿が、「この山々から溢れ出る清き水が、”滝(音羽の滝)”を流れ落ちる音が、鳥の羽音のように耳に響きわたる」と詠んで広まったことから「音羽」と名付けられたとも言います。
また、「音羽」を「乙輪」と書いたこともありました。
音羽の滝と清水寺との深い関わり合い
音羽の滝は、特にに女性には「パワースポット」としても有名な滝です。
清水寺建立以前からこんこんと湧き出るこの水は、1000年以上前から「黄金水」あるいは「延命水」として人々に親しまれ、現在に至るまで、周辺住民の生活水として、また、お茶の席の際などに使用されてきました。
また、古来、修行僧の滝行にも使われています。
この滝行は「水垢離行(みずこりぎょう)」という修験道で用いられる修法の1つで、現在でもこの音羽の滝の下で滝行が行われています。
山岳信仰(修験道)が盛んだった清水寺
この音羽の滝の上を見上げれば分かりますが、小さなお堂があることに気づきます。
このお堂の中には、古来、「倶利伽羅竜王(くりからりゅうおう)」が祀られていますが、現在では「音羽の滝・不動明王」と称され、「不動堂」と呼ばれています。
ちなみに倶利伽羅竜王とは、「不動明王が龍神に変化した姿のこと」です。
このように滝(水)の付近の洞穴などに不動明王を祀る例は山岳仏教ではよく見られており、その昔、清水寺が真言宗に属し、この地がひときわ篤い山岳信仰の場であったことを物語っています。アチっ!
ちょっと手にお持ちの清水寺の拝観券の裏側を見てください。
このような短歌が書かかれていませんか?
「松風や 音羽の滝の清水を むすぶ心はすずしかるらん」
これは「御詠歌(ごえいか)」と呼ばれる、元来、修験者や、巡礼者が旅(巡礼)の最中に詠んだ歌のことで、「巡礼歌(じゅんれいか)」とも呼ばれます。
意味はこうです。
「清らかで澄みきった音羽の滝の水が流れる清水寺へ巡礼すれば、観音様と縁が結ばれ心身ともに清らかになれる」
ちなみに、清水寺の本堂は西国三十三観音霊場の第十六番札所になっており、この御詠歌の御朱印をいただくことができます。
音羽の滝は、1000年以上経た現在も枯渇することなく、変わらずに流れ続けていることを考えても本当に不思議な滝です。
この水のおかげで多くの人々が清水寺へ訪れ、心を安らかにし、人と人の縁までもを繋いでいるとも言い換えることができます。ウフ
音羽の滝の歴史
坂上田村麻呂と共に清水寺を開創した奈良県の「子島寺(こじまでら)」の賢心(けんしん)と言う僧侶(後の「延鎮上人(えんちんしょうにん)」)が、夢のお告げで、音羽山にあるこの霊泉(不思議な効果のある泉)を訪れ、北観音寺を「清水寺」として、現在の清水寺を建立したと云われています。
延鎮上人(えんちんしょうにん)とは?
延鎮上人は、もともと、奈良県(大和国)の「子島寺」という寺に仕える僧侶でしたが、778年(宝亀9年)のある夜、東山(現在の清水山)山中へ入り、「音羽の滝」を訪ねる夢を見たことで、当時「乙輪(おとわ)」と呼ばれていた、現在の京都の「音羽」の地を訪れます。
そして清水山山中へ入った賢心は輝く水流を発見し、この水流を辿って行った先で、齢200歳ほどの「行叡居士(ぎょうえいこじ)」という修行者に出会いました。
行叡は音羽の滝でにて滝行に修していましたが、賢心と会うなりこう言います。
「そなたがここに来るのを長年心待ちにしていた。ふぉっふぉっふぉっ。..腹減った。ゴホっ。」
「私はこれから東の方へ旅立つ。あとをよろしく頼んだ。オホ」
と、このように賢心に告げて、1本の木(霊木)と自分が住まいにしていた「庵」を残し煙のようにスっ・・と、消えたそうな・・。
ここで、子島寺で見た夢のことを思い出した賢心は、行叡が「観音の化身」だと悟ります。
そして、行叡が残していった「霊木(れいぼく)」に千手観音像を彫り、行叡が残した草庵に移住することにしたのです。
以降、賢心は行叡の言葉通り、後を継ぐかのように修行を重ねる日々を送ります。
この賢心が住んだ草庵こそが現在の清水寺の起源とされ、現在では「奥の院」と呼ばれる場所となります。
その後、798年(延暦17年)に「征夷大将軍・坂上田村麻呂」が、「桓武天皇」から与えられた長岡京の「紫宸殿(ししんでん)」を、乙輪の地に移築したのを期として、この移築された「紫宸殿」に観音さまをお祀りし、現在の清水寺の以前の名前である「北観音寺」という名前を付け、開山(開創)した僧侶です。
この霊泉から湧き出て流れ落ちる「音羽の滝」の清水が、人々に神聖なものとされ、一般的に広く、清めの水としての「清水」が知られるようになってから、「音羽の滝」の「清水」から名前をとって、寺の名称が「清水寺」と改められました。
数千年ものはるか昔から湧き出ていたというこの聖水。
この水は、鴨川の地下の伏流水が、東山断層の割れ目から噴き出したものが水源とされており、これに、音羽山の雨水が加わって、滝として流れ出ているのです。
室町時代には茶の湯の水としても用いられ、はたまた現代に至っても「八功徳水(はっくどくすい)」のご利益がある水として幅広い人々から崇敬が寄せられています。
八功徳水や清水寺の歴史については当サイトの以下↓の別ページにしてご紹介しております。
音羽の滝のお水は、生活水として販売もされている
上述したとおり、昔から、お茶の席に使用されている「音羽の滝」の清水ですが、現在でも生活水として地元の方に愛飲されており、観光客や修学旅行生のみならず、地元の方もペットボトルにこの水を入れて、その水でお茶やコーヒーを淹れたり、料理に使ったりしています。
この清水で淹れたお茶やコーヒーは、それらが持つ旨みに、音羽の滝のお水そのものの旨みがプラスされて、いっそうおいしくなります。
ちなみにこの音羽の滝の水は「音羽霊水」として、音羽の滝の向かい側の寺務所「滝の堂」で、瓶詰めされて1本500円で販売されています。(賞味期限:開封後1年)
ところで・・音羽の滝の水は「本当に飲めるの??」
音羽の滝の前で長い行列に並んで、やっとの思いでありつける音羽の水です。
しかし、こんな疑問が湧き起こる方もおられると思います。
「音羽の滝の水って本当に飲めるの??」
安心してください。
音羽の滝の水は飲用水に用いることが可能であると国や京都府の認可が下りています。
ただ、音羽の滝の水の源泉は、さらにずっと山奥です。
そんなこともあり、完全な自然水なので途中で誰かがションベン→尿を垂れ流したのであれば、それをルーレット式に飲む羽目になる人物も出てくるでしょう。
さらに、微々たる微生物が水の中にいることも事実です。
ただし、微生物の話をすればキリがなく、市販されている天然水にも少なからず微生物は存在しています。
むしろ、この微生物こそがミネラル成分として身体に良い作用をもたらし、延命長寿を授けてくれるのです。(お酒の酵母菌も微生物の一種です。)
音羽の滝の水質・温度・含まれる成分など
- 水温:約11度から12度
- 水質:軟水(低硬度)
- 成分:天然ミネラル満点・有機物質はほぼゼロ
音羽の滝の水の順番やご利益については以下のページにてご紹介しています。
京都・清水寺の「音羽の滝」の場所・ご利益と滝の順番と混雑状況(画像・写真付き)
音羽の水は安心して飲める??
音羽の滝の水は、長い長い川道をドンぶらこ~♪、ドンぶらこ~♪と流れ、その果てに清水寺境内の音羽の滝となって参拝者の手元まで届けられています。
つまり、その長い長い道のりで自然環境によって、キレぇ~イ♥に!濾過(ろか)されていると言われています。イェイ!
尚、京都にはこの音羽の水を独自で採水して販売している会社もあります。
つまり、それほど良質な水なのです。
音羽の滝で音羽霊水を購入し忘れた方は、是非!京都市内の酒屋さんやスーパー、もしくはお土産店をのぞいてみてください。
このような会社さんの音羽の水が棚に並んでいるかもしれません。
音羽の水はビールの水として使用されたことがあった!
1876年(明治9年)のことです。
かつて京都府内に存在した化学の研究機関であった「舎密局(せいみきょく)」によって、この音羽の水がビールの製造に使用される計画が持ち上がります。
そこで音羽の滝の少し南あたりに醸造工場が建てられて水を引き込んで本格的にビール製造に向けて歩みだすことになります。
しかしいざ販売してみたものの、当時の日本人の舌には合わず、結局、売れ残りが生じ、わずか3年という期間で工場が閉鎖されてしまうことになります。
ここで言いたいのは、音羽の滝の水はお酒を醸造できるほど純度が極めて高い、高級天然水だということです。
京都清水寺の音羽の滝「音羽霊水」のご家庭での利用方法
音羽霊水には、例えば、以下のような利用方法があります。
- そのまま飲む(これが一番良いです)
- ご飯を炊くときのお水にする
- 観葉植物などの植木に与える(天然のミネラル成分が多量に含まれ、清められたお水ですので、植物がよく育つということです。)
音羽の滝に訪れたら御朱印を授与していただくのをお忘れなく!
音羽の滝の前には茶屋が並び、茶屋を抜けた先には「滝の堂」という少々スモールなミニ寺務所があります。

この寺務所ではオリジナルの御朱印の授与やお守りの授与もしています。
滝の堂の御朱印は「不動明王」と中央に大きく墨書きされた御朱印となります。
- 御朱印授与場所:音羽の滝の前の寺務所(滝の堂)
- 御朱印の値段:300円
滝の堂の営業時間は8時から17時までとなっています。
滝の堂の上にある舞台裏の納経所は18時までです。ご注意を。オホ
おわりに・・
この霊験あらたかな水を是非!家族の待つ家庭へ持ち帰り、全員で味わってみてください。
特に病床のご家族がいるのであれば尚の事です。
音羽の滝の水が「黄金水」や「延命水」と呼ばれる所以を、実感できる・・かもしれません。